最近、色々なニュースサイトでも
取り上げられるようになってきた”部品不足”について
製造メーカーで営業として働いているかっさまんが
知っていること(公開されている範囲で)、思っていることを記事にしました。
最初は”半導体不足”ということで報道さえれていたと思います。
しかし、時間が経つにつれて半導体不足→部品不足に変わりました。
なんと半導体不足が解消しない間に他の部品も不足してきました。
今世界で何が起こっているのか。
今後の投資に悪影響があるのか。
投資している方や経済動向が気になる方はぜひ読んでみてください。
ここまでくれば自動車が作れないだけじゃ止まらないと思います、、、
なぜ部品不足に陥っているのか
世界的な部品不足に陥っている理由は大きく2つあります。
①災害(人的/自然)
②コロナ
これらが重なり合って多くの部品不足が起きてしまっています。
1つの理由で起きているのではなく多くの理由が重なり合って
今の状況になってしまっています。
世界的部品不足の理由1 災害
コロナも災害といえば災害なのですが、
ここでの災害は火災や停電などを指すこととします。
ここ最近で多くの工場火災や停電などの災害で工場の操業停止が起きています。
日本国内の工場火災
例えば2020-2021年の間に日本だけでも2件の工場火災起きています。
・旭化成エレクトロニクス 延岡工場 2020年10月20日
・ルネサスエレクトロニクス 那珂工場 2021年3月19日
この2件はどちらも半導体製造工場で特に自動車メーカーに大きな影響を与えました。
特にルネサス 那珂工場は自動車マイコンの世界シェアの2割ほどを占めているので
火災に対して国内の自動車メーカーが、支援に乗り出すなどしました。
海外工場の工場火災
海外でも工場火災は起きています。
大きなところでは、
・TSMC Fab 12B P6 2021年3月31日
・TDK 厦門工場 2021年6月10日、28日
この2件が挙げられます。
特にTSMCの火災はルセサス火災で受けた生産減分を引き受けると
表明していたので市場に衝撃を与えました。
TDKの火災は大規模で、
フェライトコアやトランスといった生産製品に今でも大きな影響を与えています。
自然災害(テキサス州大寒波)
自然災害で一番大きなニュースになったのは、
アメリカ テキサス州の大寒波と大規模停電の影響です。
この影響で多くの工場が操業停止になりました。
テキサス州 半導体工場 影響
半導体工場だけで言っても3社が操業を一時ストップしました。
・サムスン電子 2021年2月16日
・インフィニオンテクノロジーズ 2021年2月16日
・NXPセミコンダクター 2021年2月17日
サムスンは米クアルコムの半導体を受託生産していたり、
自社のディスプレイ用半導体やセンサーICを生産していました。
また、インフィニオンはパワー半導体の世界トップシェアのメーカーで
各地に大きな影響を与えました。
テキサス州 石油化学プラント工場 影響
テキサス州は石油化学プラントも多くあり、
石油製品にも影響を与えました。
大きなところでいえば、
樹脂大手のデュポン社が操業停止の影響でFM宣言を行いました。
FM宣言(フォースマジュール)とは
不可抗力で契約を守れないと宣言を出すことで、
その責任も合わせて負わないと宣言することです。
他にも東レも同じようにFM宣言を行いました。
FM宣言は簡単にいえば、
約束守れないけど自分たちではどうしようもないし許してね!
ということで完全白旗宣言です。
世界的部品不足の理由2 コロナ
欧米や日本ではコロナの脅威は少し低くなってきました。
しかし、まだまだ東南アジアでは多くの感染者を出していて、
人の移動を制限するなどして工場の稼働が停止/稼働率の低下を招いています。
現代の東南アジアには多くの部品工場や組み立て工場があり、影響は小さくありません。
マレーシアの行動制限 影響
マレーシアはコロナの影響で行動制限が行われていました。
その影響で部品不足が起きました。
例えばですがマレーシアには日本の大手電解コンデンサ企業の工場があります。
・ニチコン
・日本ケミコン
この2社だけでも多くの市場シェアを占めているので、
日本の製造メーカーに与える影響は絶大です。
また、先ほども出てきた2つの半導体企業
・インフィニオンテクノロジー
・NXPセミコンダクター
この2社もマレーシアでの半導体検査工程をマレーシアで行っており、
ここでも半導体が引っかかってきてしまっています。
半導体不足が止まらない、、、
ベトナムの行動制限 影響
ベトナムでもマレーシアと同じように行動制限をしていました。
※2021年9月30日で一旦終わりました。
ですので同じように工場の稼働率が大きく下がっています。
ベトナムは例えば日系ワイヤーハーネス工場が多くあります。
日系のワイヤーハーネス企業といえば、
・住友電気工業
・矢崎総業
・古河電気工業
・フジクラ
などが日系大手ですが全ての企業でベトナムに工場があります。
もちろん代替え生産をどこかで行うことでしょうが影響は避けられません。
余談ですが、
給湯器のメーカー”リンナイ”や”ノーリツ”の工場もベトナムにあり
納期遅延を起こしていると発表がありましたのでご注意ください。
世界的な部品不足 今後の影響
ざっとですが今影響が出ている半導体や部品について書いてきました。
私が知っているだけでこれだけあるので他にももっと多くあるのではないでしょうか。
部品が足りないと川上であればあるほどに波及性が高くなってきてしまします。
つまりボトルネックが生まれてしまい最終的に大きな影響を及ぼすということです。
例えばデュポン社の樹脂ですが世界で高いシェアを得ていたので、
大きく供給が減ってしまっています。
そうなると樹脂を使う製品が生産できません。
樹脂が使われる部品にはコネクタやセンサー、リレー、などなど多くあります。
これらが1つないだけでも自動車は完成させることができません。
どんなに完成していても1つの小さなコネクタや1本のハーネスがないだけで
完成したとは絶対に言えません。
自動車だけに多くの注目が集まっていますが、
もちろん他の工業製品もコネクタがない状態では出荷できません。
どんな小さい部品でも全て揃ってからしか出荷できません。
自動車だけが作れない訳がないのです。
世界的な部品不足 投資への影響
もちろん生産が落ちているので営業成績にも影響が出ます。
製造メーカーはものを売って利益を得る企業ですので
売るものがなければ、作れなければ利益を出すことができません。
この影響は必ずどこかで出てくると思います。
というかもうすぐに出てきてもおかしくありません。
上期の決算ではそこまで多くの影響が出ていない企業が多かったですが、
このままこの状況が続けば、利益率や売上が悪化して株価も下がるメーカーも出てくるでしょう。
製造メーカーの株を持っている人は今回の決算は特に注意しましょう。
メーカー営業が思う世界的な部品不足
先にも書きましたが株価には必ず影響が出てくると思います。
いつ表面化するかはわかりませんが、
このまま行けば個人的には部品不足がきっかけとなり、
世界的な不況に陥ってもおかしくないレベルと思っています。
どこもかしこも”作れない”に溢れてしまって、
負のスパイラルが完成しているように思うからです。
特に日本はもの作りが盛んな国ですので、
日経平均に与える影響は少なく無いのではないかなと思っています。
みなさんもぜひ注意して自動車減産のニュースや部品不足のニュースを
読んでみてください。
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